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トレジャーデータ、新経営陣によるビジネス戦略を発表

トレジャーデータは11月5日、新経営陣によるビジネス戦略を発表した。10月1日付けで日本法人の社長執行役員に就任した三浦喬氏は「成長するCDP(Custromer Data Platform)市場にあって、トレジャーデータのシェアは市場の伸び以上に拡大している。今後は米国や日本のCDP市場で先行して培ってきた強みを武器に成長著しいAPAC(アジアパシフィック)へ本格進出し、デジタルトランスフォーメーションを支えるエコシステムを確立していきたい」と語り、APACのCDP市場を拡大する意向を示している。


 トレジャーデータは11月5日、新経営陣によるビジネス戦略を発表した。10月1日付けで日本法人の社長執行役員に就任した三浦喬氏は「成長するCDP(Custromer Data Platform)市場にあって、トレジャーデータのシェアは市場の伸び以上に拡大している。今後は米国や日本のCDP市場で先行して培ってきた強みを武器に成長著しいAPAC(アジアパシフィック)へ本格進出し、デジタルトランスフォーメーションを支えるエコシステムを確立していきたい」と語り、APACのCDP市場を拡大する意向を示している。

トレジャーデータ 日本法人 社長執行役員 三浦喬氏

ArmのIoTサービス部門から再び独立企業へ

 トレジャーデータの親会社である米Treasure Dataは、2018年8月に英Armに買収され、以降、Arm Treasure DataとしてArmのIoTサービス部門として機能してきたが、2020年9月に発表された米NVIDIAによるArm買収にともない、ArmからTreasure Dataに対して提案された事業分離案を受けて現在もこれを進行中。NVIDIAのArm買収が完了する前には完全な独立企業にふたたび戻る予定だ。

 Armからの事業分離をきっかけに経営体制も一新し、10月2日には製品担当バイスプレジデントだったパンカジ・ティブレワル(Pankaj Tibrewal)氏が新CEOに就任、創業者CEOを務めていた芳川裕誠氏および同じく創業メンバーでCTOを務めていた太田一樹氏は今後、取締役として同社の経営に従事する。

 これらの流れを受けて日本法人も10月1日付けで新体制による経営がスタート、アジアパシフィック営業責任者であった三浦氏が社長執行役員に、取締役で前社長の三橋秀行氏が代表取締役会長にそれぞれ就任している。なお、Arm日本法人の代表取締役社長を兼任していた内海弦氏は9月でトレジャーデータ 代表取締役を退任している。また、米Treasure Dataでカスタマーサクセス/サポートエンジニアリング担当シニアディレクターを務めていた田村清人氏は日本法人の取締役 執行役員に就任し、今後は日本法人の経営にも参画する。なお田村氏はTreasure DataのCCO(チーフカスタマーオフィサー)も兼任する。

トレジャーデータ 取締役 執行役員 田村清人氏

CDP市場で高いシェア 4つの戦略の全体像

 新たな経営体制となったトレジャーデータだが、新経営陣は今後、拡大中のCDP市場においてどんなポジショニングを狙っていくのだろうか。三浦氏はトレジャーデータの変遷を振り返り、2011年からの創業期、2016年からの成長期を経て、2020年の現在は「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるエコシステムを確立する発展期に入っている」と語る。

トレジャーデータの変遷

 現在、2011年の創業時は3名だったメンバーも現在はグローバルで430名に拡大、メインプロダクトの「Treasure Data CDP」は国内CDP市場で92.3%という圧倒的なシェアを獲得している。CDPとしての評価はグローバルでも高く、「MarTech Awards 2019」のベストカスタマーデータプラットフォームなど数々の賞を獲得しており、Martel、LGエレクトロニクス、資生堂、キリン、JR東日本など国内外の大企業による導入事例も多い。

 こうした過去の実績を礎にしつつ、新型コロナウイルス「COVID-19」の世界的な感染拡大があらゆる業種のビジネスと価値観を急激に変化させている現状を踏まえ、三橋氏はトレジャーデータが取り組む新たな戦略の全体像として以下の4つを挙げている。

・APAC進出の加速 … 日本企業のAPAC/グローバル展開の支援、現地ユーザ企業の獲得、2020年度はとくに韓国、タイ、インドネシアに注力

・人材育成ビジネスの開始 … 有償トレーニングサービス「Treasure Academy for CDP Masters」をローンチ、ハンズオンセッション、ノウハウの提供、プライバシー保護へのフォーカスなどを中心に、CDP活用人材の"インハウス化"を支援

・CDPエコシステムの強化 … パートナープログラム「Treasure Data Partner Certification Program」において、Treasure Data CDPを活用したシステムの提案や導入支援を行うパートナー向けの「マスターパートナープログラム」と、自社製品とTreasure Data CDPを組み合わせた一気通貫なソリューションを提案するパートナー向けの「テクノロジーパートナープログラム」を開始

・カスタマーサクセス強化 … 急激に変化する市場と顧客ニーズに対応するため、米国本社からカスタマーサクセスを統括してきた田村氏を日本法人の経営陣に迎え、Treasure Data全リージョンの顧客サポートを統括するCCOとして日本からユーザ企業のグローバル展開を支援

ビジネス戦略の全体像

 これらの戦略を据えた背景には、COVID-19によりCDP市場のニーズが劇的に変化しており、多くの顧客企業がこの変化への対応に苦しんでいるという現状がある。三浦氏はCDP市場で現在求められている対応として

・D2C(Direct-to-Consumer、メーカーや生産者が消費者と直接つながること)やDXの加速など「顧客変化」への対応

・ITP(Intelligent Tracking Prevention)などプライバシー尊重の動きやGDPR/個人情報保護法改正案など「データ法規制強化」への対応

・米国を超えるペースで成長を続ける「APAC市場」への対応

の3つを挙げており、日本法人にCCOを設置し、これらの変化への対応をサポートする全リージョンの起点として機能させてくことを表明している。

「Treasure Data CDPはグローバルで導入する企業が多い。典型的な導入パターンは、(米国、日本など)特定の市場でCDPを導入し、その後、複数の市場で展開していくというアプローチ。これまでは各国のリージョンで対応してきたが、今後(2020年10月以降)はグローバルで日本が代表して対応していく。世界中のどの企業にとっても、グローバル化を進めていくと日本が非常に大事な市場となるのは明らか。現在、Treasure DataはCDP市場でトップにいるが、CDP市場はこれからAPACを中心にさらに拡大していく。そうしたトレンドにあって顧客企業のサポートを、日本という重要でかつ拡大中の市場から展開していくことは、新しいフェーズに入ったTreasure Dataにとって良い選択だと思っている」(田村氏)

 グローバルでの経営体制の変更とともに、日本でも経営陣と戦略を大きく変更したトレジャーデータ。CDPのトップベンダーとしての地位を維持しつつ、市場自体のさらなる拡大も見据えながら、同社としての新たなフェーズである"発展期"へと入っていく。

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