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お手頃価格で最大速度3,500MB/sのGen 4 M.2 SSDが発売されたので、実性能をPCでテストしてみた[Sponsored]

 現在、エントリークラスのM.2 NVMe SSDにおいて増加傾向にあるのが、PCI Express 4.0対応でありながら“お手頃価格”で販売されている製品だ。このタイプの製品は、高価格帯で推移してきたPCI Express 4.0対応SSDのハードルを下げるとともに、これまでのエントリークラスの既成概念を過去のものにしつつある。

 現在、エントリークラスのM.2 NVMe SSDにおいて増加傾向にあるのが、PCI Express 4.0対応でありながら“お手頃価格”で販売されている製品だ。このタイプの製品は、高価格帯で推移してきたPCI Express 4.0対応SSDのハードルを下げるとともに、これまでのエントリークラスの既成概念を過去のものにしつつある。

 また、同タイプの製品の中でも最安クラスのものはSerial ATA接続のSSDとの価格差もほぼなくなっているため、今までHDDや小容量SSDを使っていたユーザーからも手を出しやすい。そこで本稿では、注目度が高まっているこのカテゴリーの製品の中から、Kingstonの「NV2 PCIe 4.0 NVMe SSD」を詳しく紹介していく。

Kingstonの「NV2 PCIe 4.0 NVMe SSD」。PCI Express 4.0対応SSDの中でもとくに容量単価が安いエントリークラス製品で、Serial ATA SSD並みの価格で購入できる

全容量が片面実装のDRAMレス設計

 NV2 PCIe 4.0 NVMe SSD(以下、NV2)は、インターフェースにPCI Express4.0 x4を採用した製品である。公称最大読み出し速度は、500GB以上のモデルがすべて共通で3,500MB/s、250GBモデルのみが3,000MB/s。書き込み速度は、2TBモデルが2,800MB/s、500GB/1TBモデルが2,100MB/s、250GBモデルが1,300MB/sだ。

 搭載コントローラは非公開だが、筆者が調べた限りでは、PCI Express 3.0対応NVMe SSDやSerial ATA SSDで数多くのメーカーに採用されていた定番メーカーの一つ、Silicon Motion製のPCI Express 4.0対応/DRAMレス設計のコントローラ「SM2267XT」が搭載されていた。

NV2の搭載コントローラは、Silicon Motion製のPCI Express 4.0対応モデル「SM2267XT」。なお、250GB~2TBまでのすべての記憶容量のモデルで片面実装を採用する

 また、本製品は、記憶容量250GB/500GB/1TB/2TBの4種類の製品が用意されているが、そのすべてにおいて片面実装で設計されている点は、特筆しておきたい。

 NVMe SSDは、1TBモデルまでは片面実装、2TBモデルからは両面実装という製品が現状では数多くある。両面実装のNVMe SSDは、厚みが問題となって薄型ノートPCなどでは利用できない場合があるが、片面実装の本製品であれば、そのようなことは起きない。薄型のノートPCから自作PCまであらゆる環境で安心して利用できる点は本製品の大きなメリットだ。

【Kingston NV2 PCIe4.0 NVMe SSDの主なスペック】
型番SNV2S/2000GSNV2S/1000GSNV2S/500GSNV2S/250G
容量2TB1TB500GB250GB
インターフェースPCI Express 4.0 x4
プロトコルNVMe
コントローラー非公表(SM2267XT、筆者調べ)
NANDフラッシュ非公表
DRAM非公表(なし、HMB対応)
Sequential Read (Max)3,500MB/s3,500MB/s3,500MB/s3,000MB/s
Sequential Write (Max)2,800MB/s2,100MB/s2,100MB/s1,300MB/s
TBW64032016080
保証期間3年(制限付き保証)

DRAMレス設計ながら必要十分な性能を実現

PCIe 4.0接続で利用すれば公称速度を安定して発揮

 ここからは、ベンチマーク結果からNV2の実際の性能を見ていこう。性能のチェックはすべて記憶容量1TBのモデルで行ない、PCI Express 4.0で利用した場合とPCI Express 3.0で利用した場合の速度を計測した。

【検証環境】
CPUIntel Core i5-11600K(6コア12スレッド)
マザーボードASUSTeK ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI
(Intel Z590)
メモリDDR4-3200 32GB
(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2)
システムSSDM.2 NVMe SSD(PCI Express 3.0 x4、512GTB)
OSWindows 11 Pro(22H2)

 まずは、最大速度を確認できるCrytalDiskMarkの結果を見ていく。NV2の最大シーケンシャル速度は、PCI Express 4.0接続の場合で読み出し3,658.7MB/s、書き込み2,613.1MB/sとほぼ公称値どおりの速度を記録する一方で、PCI Express 3.0で利用した場合は、それよりやや低い値となった。

 PCI Express 3.0で利用した場合の最大読み出し速度は3,147.6MB/sで約500MB/sほど速度が低下し、書き込みは2,518.1MB/sで約100MB/sほど低下した。また、ランダム読み出し/書き込み速度も約1割ほど速度が低下している。PCI Expressの帯域がボトルネックになった結果と推測される。

CrytalDiskMarkの計測結果。PCI Expree 3.0接続で利用するとPCI Express 4.0接続で利用する場合よりも若干遅くなる

 次に体感速度に近い指標を計測するPCMark 10 Full System Drive Benchmarkと3D Mark Storage Benchmarkの結果を見ていく。PCI Express 4.0接続で利用した場合のPCMark 10のスコアは「2,642」、3D Markが「2,600」だった。エントリークラスSSDであることを考えると、必要十分なスコアをマークしていると言えるだろう。

PCMark 10 Full System Drive Benchmarkの計測結果。PCI Express 4.0接続時のスコアは「2,642」、PCI Express 3.0接続で利用すると「2,246」だった
3D Mark Storage Benchmarkの計測結果。PCI Express 4.0接続時のスコアは「2,600」だが、PCI Express 3.0接続で利用すると「2,275」にとどまる。真価はやはりPCI Express 4環境で発揮されるようだ

 一方で、PCI Express 3.0接続で利用した場合は、PCMark 10、3D Markともに約1割ほどスコアが低下した。本製品の公称速度を見る限りは、PCI Express 3.0接続でも十分という感じに見えるが、体感性能を含めて本製品の最大性能を発揮させるには、PCI Express 4.0接続の環境で利用するのがベストであることは間違いない。

シーケンシャル書き込み時の転送速度と温度の推移を追った(約10分間)。NV2 1TBモデルのSLCキャッシュの容量は約260GB程度だろう。SLCキャッシュ枯渇後の速度を見る限り、本製品はQLC NAND型フラッシュメモリを採用していると見られる

 次にNV2のSLCキャッシュの最大容量だが、1TBモデルの場合で約260GBだった。また、SLCキャッシュ枯渇後の書き込み速度は、平均151.2MB/sとなった。本製品に搭載されているNAND型フラッシュメモリは非公開だが、SLCキャッシュ枯渇後の平均書き込み速度を見る限りでは、QLC NAND型フラッシュを採用していると推測される。

 スペックシートを見てみると、TBW(総書込容量、耐久性の目安となる)は2TBモデルで640TB、1TBモデルで320TB、500GBモデルで160TB、250GBモデルで80TBとなっていた。一般的なTLC NAND型フラッシュメモリのSSDと比較すると少なめだが、実際の利用用途では必要十分な耐久性を備えているので気にする必要はないだろう。

発熱は小さめで性能は必要十分。コスパに優れたエントリー機

 本製品は、PCI Express 4.0対応製品でありながら、発熱量がマイルドであるため、使いやすいのもありがたいところだ。10分間のシーケンシャルライトを実行したときの温度は、マザーボード付属のヒートシンクを利用した場合で最大46℃までしか上がらなかった。ヒートシンク非装着の場合は、さすがに最大67℃まで上がってしまったため、実利用ではヒートシンクの装着をオススメする。

 また、普段使いのPCや、読み出しが主体のゲーミング用途などでも必要十分な性能を備えていながら、NVMe SSDの中でトップクラスのコスパを実現している点も魅力。SSDは、どうしても瞬間的なスピードに目が行きがちだが、実用性を考えると、記憶域を広く取ることのほうが、長期間に渡る性能の維持や寿命延長に、よい意味で大きな影響を与える。このため、予算内でできるだけ容量の大きな製品を選択することが重要だ。

 総評として、PCI Express 4.0対応製品ながら、Serial ATA SSD並みの価格を実現するなど、性能と価格のバランスが非常によい製品と言える。1台目のSSDが小容量だった場合の増設や置き換えなどに最適と言えるだろう。とくにノートPCや小型PCでPCI Express対応のM.2スロットがある環境ならぜひ活かしてみてほしい。

NV2活用・PS5編:SSDをPS5に増設してみよう!

 M.2 NVMe SSDの用途として注目されているのが「PS5への増設」。PCと同様にゲームの巨大化が進むPS5でも、内蔵ストレージの増設ニーズは高い。

 PS5のM.2スロットに増設できるSSDの条件はいくつかあるのだが、一番重要なのは「PCI Express 4.0 x4に対応していること」。シーケンシャルリード速度の条件は“推奨”で、必ずしも条件を満たしている必要はない。つまり、予算を抑えてPS5に内蔵SSDを増設したいなら、NV2のようなPCI Express 4.0 x4対応で安価なものが好適なのだ。

 なお、PS5の公式サポートの情報によると、M.2 SSDを使用する場合は「ヒートシンクや熱伝導シートが必要」としている。温度がさほど高くならないNV2だが、コンパクトなもので構わないのでヒートシンクを用意しておこう。

 内蔵SSDの仕上がりが非常に優秀なPS5の場合、増設SSDでこのパフォーマンスを凌駕するのはなかなか大変。そのため、パフォーマンスよりも、広いスペースを確保することを目的としたほうが効率的。最低でも1TB、予算が許せば2TBモデルの増設をオススメしたい。

 また、PS5用増設SSDの要件の一つに“シーケンシャル読み出し速度5,500MB/秒以上を推奨”という項目があるが、これはあくまで推奨であり必須ではない。今回、NV2をPS5に搭載してみたが問題なく利用することができた。

(1)増設スロットは本体外装を取り外すとアクセスできる金属製カバーの下にある
(2)使用するヒートシンクにもよるが、スロットに差し込む前にSSDに固定するのが一般的
(3)スロットにしっかりと差し込む。斜めに挿入して奥までしっかり押し込み、水平にする
(4)最後にSSDをネジで固定。あとは金属カバー、本体外装をもとに戻せばOK

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