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大企業の「壁」を破壊するためには、スタートアップ企業と組む

9月、横浜市経済局新産業創造課が運営する横浜市関内のベンチャー企業成長支援拠点YOXO BOXで、セミナーイベント「YOXO Study Series オープンイノベーション編 ~withコロナ時代のオープンイノベーション成功の秘訣~」が開催された。


株式会社InnoProviZation 代表取締役社長の残間 光太郎氏

コロナ時代のオープンイノベーションをテーマに
セミナーイベントがYOXO BOXで開催

 9月、横浜市経済局新産業創造課が運営する横浜市関内のベンチャー企業成長支援拠点YOXO BOXで、セミナーイベント「YOXO Study Series オープンイノベーション編 ~withコロナ時代のオープンイノベーション成功の秘訣~」が開催された。

 新規事業を生み出す手法として一般的にも使われることが多くなった、企業間の共創による「オープンイノベーション」をテーマにしたイベント。

 講師を務めたのは、株式会社InnoProviZation 代表取締役社長の残間 光太郎氏だ。本稿では、残間 光太郎氏による講演の内容をレポートする。

大企業とスタートアップ企業が組むために大事なこと

 残間 光太郎氏は、NTTデータでオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から」を立ち上げ、オープンイノベーション事業創発室 室長(当時)として世界中を飛び回っていた人物(参考記事)。大企業に勤務しながら、世界中、数多くのスタートアップ起業と関わった後、現在、代表取締役社長を務めるInnoProviZationを立ち上げている。

 残間 光太郎氏はまず、コロナ禍について「大企業でも戦わないと生き残っていけない時代になり」、そのために「新しいソリューションを創発していく必要がある」と話し、さらに、「DX(デジタルトランスフォーメーション)は3年から5年前倒しになったと言われている」とも話した。

モデレーターをガチ鈴木(株式会社角川アスキー総合研究所 ASCII編集部)が務めた

 また、ICT(情報通信技術)が誰でも使えて、起業にかかるコストも10年前の0.1%ほどになっていると説明。したがって、R&D(研究開発)でゼロから新しいソリューションを作っていくのは、試行錯誤に膨大な時間がかかり、顧客の獲得が思うように進まない可能性もあり、時代に合ったスピード感が確保できず、大企業にとってもリスクになり得ると述べた。

 このスピード感についていくために、残間 光太郎氏がすすめる手法が、異業種、異分野が持つ知見を組み合わせて、新たな事業を創出する「オープンイノベーション」である。R&Dと並行して、オープンイノベーションにも注力する企業が増えており、1:1のバランスでコストをかけている大企業も増えているという。

スタートアップ企業のアクセラレーター事業も展開する株式会社InnoProviZationでは、YouTubeチャンネルも運営している

 残間 光太郎氏は、オープンイノベーションによって、大企業は、大企業独特の承認の多さやプロジェクトの進行の遅さ、それに伴うルールや壁を破壊するための「鍵」を手に入れられると語る。すでに顧客を獲得しているスタートアップ企業と提携することで、スピーディーな新規事業の展開が可能になるという意味だ。

 そして、大企業とスタートアップ企業が提携してのオープンイノベーションには、大企業、スタートアップ企業双方の事情を熟知している仲介者がいること、担当者同士の信頼関係、大企業側に事業責任者を置くことなど、いくつか不可欠な要素があるとも話し、企業体制のギャップを埋め、大企業がスタートアップ企業のスピード感についていくことも大事だと述べた。

コロナ禍のいまこそオープンイノベーションが求められている

 残間 光太郎氏はコロナ禍のビジネスについて、DXが急激なスピードで促進している、正解がない、世界同時発生しているという3つの特徴を挙げ、「この3つは、オープンイノベーションそのものが持っている特徴とも合致している」と話す。

 双方の現場担当者同士の信頼関係、大企業側の幹部、事業責任者、OI担当のパッションが案件毎に揃うことなど、いくつか不可欠な要素があるとも話し、大企業とスタートアップ企業が将来のミッションを共有することも大事だと述べた。

 DXが急速に進み、世界中の企業がスピード感を持って、コロナ時代に合わせたソリューションを作ろうとする中、このスピード感に追いつけ、かつ、正解がない問題に取り組むための試行錯誤ができるのは、スタートアップ企業のコンパクトな組織と発想力である。そしてそれは世界中の各々の課題を解決しようとしている。と解説。

 大企業の中に、情熱を持ってスタートアップ企業との事業創出に取り組める人を置き(残間 光太郎氏は「自分でも事業をやりたくて仕方ないような人」と形容)、スタートアップ企業との提携に注力できる体制を作っていくことが、大企業には求められると話した。

 「まずはパッション(情熱)があること。さらに、そのパッションには社会課題を解決しようとする『大義』があるのか。大義のための仲間はいるのか。大義があれば、仲間はついてきます。

 パッションを持ったイノベーターが(大企業の)社内にいることが、大企業とスタートアップ企業が組むオープンイノベーションには必要ですし、そこが揃っている事業ならうまくいきます。いまこそ、オープンイノベーションが必要なときだと私は思っています」(残間 光太郎氏)

元記事