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デル・テクノロジーズがサーバー事業戦略を説明、新施策も発表

デル・テクノロジーズが国内サーバー事業戦略についての記者発表会を開催した。「製品ポートフォリオの拡充」「消費モデルの導入」「新たな価格戦略」「顧客サポート力の強化」「販売エコシステムの強化」という5つの基本施策を打ち出すとともに、その実現に向けた多数の取り組みを発表した。


 デル・テクノロジーズは2020年12月15日、国内におけるサーバー事業戦略についての記者発表会を開催。「製品ポートフォリオの拡充」「消費モデルの導入」「新たな価格戦略」「顧客サポート力の強化」「販売エコシステムの強化」という5つの基本施策を打ち出すとともに、その実現に向けた多数の取り組みについても発表した。

 デル・テクノロジーズ 執行役員 製品本部長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の上原宏氏は、「これら5つの施策は、新しい時代の顧客のために提供するもの」だと説明。「サーバービジネスにおいて、選ばれるベンダーとなり、継続したビジネス成長を目指す」と述べている。

サーバー定価の平均25%引き下げなど、「5つの基本施策」に沿った具体的な取り組みを紹介

デル・テクノロジーズ 執行役員副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏、同社 執行役員 製品本部長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の上原宏氏

固定料金+超過料金型の新たな消費モデル「Pre-approved Flex on Demand Pricing」

 IDC Japanのデータによると、デル・テクノロジーズは国内x86サーバー市場の出荷金額シェア(2020年7~9月期)において第3位、15.4%のシェアを獲得している。上原氏は、このシェアは4年前の同期比で倍増しており「(上位ベンダーの中で)唯一の右肩上がりのベンダー」だと強調する。

 前述したとおり、今回の発表会では国内サーバー事業について5つの基本施策を打ち出し、具体的な取り組みも紹介した。

デル・テクノロジーズが国内サーバー事業について打ち出した「5つの基本施策」

 まず「製品ポートフォリオの拡充」では、すべての用途/IT環境に対応したインテルとAMDのプロセッサ搭載モデルをラインアップする。またVMwareのGPU仮想化ソリューション「vSphere Bitfusion」のOEM提供を受け、AI/機械学習におけるGPUリソースの利用効率の課題を改善する。そのほか、管理専用プロセッサ「iDRAC」と統合管理コンソール「OpenManage Enterprise」のアップデートによる管理機能強化、サプライチェーンリスク管理における米連邦政府のガイドラインへの準拠機能の提供などを挙げた。

 上原氏は、市場ではAMDのサーバー向けプロセッサ「AMD EPYC」の採用が進んでおり、PowerEdgeにおいても約6%を占めている(2020年第3四半期)と説明。インテルとAMDのプロセッサモデルをラインアップすることで、顧客により幅広い選択肢を提供できると説明した。

インテル/AMDプロセッサ搭載モデルをすべての用途向けにラインアップ。また共有GPUリソースを利用できる「vSphere Bitfusion」にもいち早く対応、販売を開始した

 「消費モデルの導入」では、新しいコンサンプションモデル「Pre-approved Flex on Demand Pricing for PowerEdge」を提供開始している。これはCPUの基本利用率(70~80%)をベースラインとして設定し、その部分は月額固定料金としたうえで、それを超過した利用分に従量課金を適用するもの。まずは「PowerEdge R640/R740/R740xd」の3機種で、予想されるリソース需要に基づいてS/M/Lモデルが事前構成済みで提供される。シンプルな月額料金で導入が可能であり、初期導入コストの低減と投資の可視化が可能になるという。

 「(サーバー内蔵の)iDRACがCPUの利用率を管理しており、事前申告した範囲内であれば定額で利用できる。また、最初の3カ月は支払いを猶予する期間を設定しており、支払期間は実質33カ月分。これによりCAPEXからOPEXへの移行を支援できる」(上原氏)

新たな消費モデル「Pre-approved Flex on Demand Pricing for PowerEdge」を提供開始。たとえばPowerEdge R640/Sモデル(3年契約)の場合、最大80%までのCPU率ならば1時間あたり43.0266円、月額換算で2万5128円となる(いずれも税抜)

PowerEdgeの標準価格を平均25%引き下げ、「実勢価格に近いものに」

 「新たな価格戦略」では、PowerEdgeサーバーの標準価格を、1台あたり平均25%引き下げる。また、PowerEdgeがベースとなっているHCIやストレージ製品についてもハードウェア部分の価格を引き下げ、7~25%の範囲での価格引き下げを実施する。上原氏は、特にメモリの価格引き下げ幅が最も大きく、メモリ搭載量の多いモデルほど値下げ幅が大きくなっていると説明した。

 なお同社 執行役員副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏は、日本市場はグローバルと比較してもサーバーの価格が高く、また大幅な値引きを前提とした価格設定をするベンダーも多いため「妥当な市場価格がわかりにくい状況にある」と指摘。実勢価格に近づけた価格設定を行うことで、顧客企業における導入の意思決定スピードも上げることにつながると述べた。

サーバーコンポーネントの価格改定によりPowerEdgeサーバーの標準価格を平均25%引き下げ。「CxRail」などのHCIやストレージ製品も価格引き下げとなる

 「顧客サポート力の強化」では、同社サーバー製品のカスタマーサポートコールをすべて担当する宮崎コールセンター(宮崎市)において、今年4月の緊急事態宣言(全国対象)に先駆けて100%テレワーク化を実現したことを紹介。現在でも「途切れない顧客サポート」を実現しているという。

 最後の「販売エコシステムの強化」では、デル・テクノロジーズの製品を補完するソリューションパートナーについて、グローバルでの仕組みに則って、あらためて「ストラテジックパートナー」と「コアパートナー」に再定義した。パートナー連携を強化することで、これまで以上に多様な顧客ニーズへの対応力を向上するとともに、相談窓口の一本化を狙う。パートナー各社とデル・テクノロジーズのプレセールス部門間の連携強化も図る。

 「日本のIT市場には潜在的な成長力があり、政府の後押しもある。引き続き、IT投資意欲は高いと考えている。今回の施策は、販売機会の増加、ITの浸透を促すことにつながる。サーバー製品の平均価格を25%引き下げることになるが、それでも、国内サーバー市場における出荷金額シェアを引き続き成長させることができる」(松本氏)

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 松本氏は、デル・テクノロジーズの国内サーバー事業における基本姿勢についても説明した。今年8月にデルとEMCジャパンを統合して誕生した同社では、「日本の顧客のDXの実現に貢献する」というビジョンと、IT変革の4本柱「ITの競争力強化」「xFHの実現」「デジタル競争力の確立」「社会インフラの変革」を掲げている。ただし松本氏は、これらを実現していく「スピード」が問題だと指摘する。

 「新幹線にもこだま、ひかり、のぞみとあるように、問題は正しいレールに乗っていることだけでなく『早く目的地に着けるかどうか』だ。いつまでになしえるかが大切である。日本はスピード感がないことが課題。スピード感を重視した実行力を大切にしたい」(松本氏)

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