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SlackとOffice 365の連携でコミュニケーション改革、ベルシステム24

Slackが提唱する「イベントドリブン企業」の実現に向け、Slackの活用を進めるベルシステム24。11月の「Slack Tour Japan Online」では同社 DX推進リーダーの川崎佑治氏が登壇し、Office365との連携や“ヨコグシ”(組織横断のコミュニケーション)で実現していることを紹介した。


 Slackが打ち出す「イベントドリブン企業」の実現に向け、Slackと「Office 365」との連携を進めているのがベルシステム24だ。Slackが11月にオンライン開催した「Slack Tour Japan Online」では、ベルシステム24 DX推進リーダーの川崎佑治氏が登壇し、SlackとOffice 365の連携や“ヨコグシ”(組織横断のコミュニケーション)で実現する同社の「働き方改革」について紹介した。

ベルシステム24 DX推進リーダーの川崎佑治氏

「会話」というイベントが仕事を駆動させる仕組み

 「イベントドリブン企業(イベント駆動型企業)」は、Slack Technologiesが10月に開催した「Slack Frontiers 2020」で共同創業者兼CEOのスチュワート・バターフィールド氏が提唱したコンセプトだ。

 Slack Japan シニアプロダクト マーケティングマネージャーの伊藤哲志氏は、現在の企業では無数のイベントが、多数の業務システムや人から発信されるようになっているが、それを管理し対応するための統一的な仕組みを持っていないことを指摘する。その結果、働く人は日々、さまざまなツールを切り替えながら仕事を進めなければならず、Slackの調査によると「ツールの切り替えに1日30分以上を無駄にしている」と回答したナレッジワーカーは64%にも及ぶ。

 そこでSlackを統合基盤(ハブ)として用い、多種多様なイベント情報をSlackに集約して「イベントを中心とした」リアルタイムなコラボレーションを実現、生産性を向上するというのが、イベントドリブン企業のコンセプトである。

多数の業務システムと人から日々無数の「イベント」が発信されているが、それらが連携していないために大きな無駄が生じている

多数の業務ツールを使いつつ、それらをSlackで「1カ所に統合」することで業務効率を高める

 多数あるクラウドアプリケーションの中で、ビジネスユーザーがよく利用するのがMicrosoftの「Office 365(Microsoft 365)」だ。実際、Slackと契約する大企業の7割近くがOffice 365を使っており、今回登壇したベルシステム24もその1社である。

 ベルシステム24はコンタクトセンターの受託運営を主事業としており、全国にある37拠点で約2万8000人の従業員を抱える。コロナ禍によりさらにニーズが高まった在宅コールセンターは現在1000席規模で、2年後には4倍にする計画だという。

 同社は2018年、社内における拠点間のやり取り、取引先や顧客とのやり取りを目的にSlackを導入した。その理由として川崎氏は、「組織の枠を超えたヨコグシの活性化」「絵文字や画像で感情まで伝わるコミュニケーション」「検索性能や使いやすいUIによる圧倒的な効率」の3つを挙げる。

 Slackを導入した最大の理由である「ヨコグシの活性化」とは、組織規模の拡大による縦割り化を防ぎ、横の連携を活性化させるというものだ。川崎氏は、さまざまな実証を行ってきた結果として「間違いなく、Slackで横の連携が安全かつ高度に実現できる」と断言する。

 さらに、イベントドリブンというSlackのコンセプトについては「会話から仕事が生まれること」だと語る。Slackでは、メールのように毎回あいさつなどを挟むことなく、「サクサクと」スムーズに会話が進むため、そうしたコミュニケーションから新たな仕事やタスクがどんどん生まれていくと説明した。

川崎氏は「つながる」にも度合いがあると説明する。メールや電話で「なんとかやり取りできる」レベルではストレスが大きく、コミュニケーションのイノベーションは生まれない

Slackで「会話」をしながらOffice 365で「資料」を共同編集する

 本題であるOffice 365とSlackの連携については、「会話」を支えるSlackの一方で、Office 365は「資料」の共同編集を支えており、両者を行き来することで「コミュニケーションのイノベーションが起きている」と語る。

 「以前ならば誰かが発案して会議を招集し、そこで決まったことについてAさんがドキュメントを作成、メールでBさんに続きの編集作業をお願いし、完成したらまた会議招集だった。現在はSlackで会話をし、必要に応じてビデオ会議も組み合わせながら、Office 365やG Suiteでドキュメントを共同作業している。Slack上での会話から、シームレスに展開している」(川崎氏)

 SlackにOffice 365のドキュメントをアップするとサムネイルが自動表示されるため、メンバーは視覚的にその内容がわかる。共同編集を進めながら、質問や確認事項があればSlackで会話し、いつでも全員が見られるかたちで作業が進む。メンション機能を使うことでメールのような転送を防ぎ、「会話がずっと続いている状態で作業ができる」と作業イメージを語る。

会議とメールによる「ちょっと前」のコラボレーションと、SlackとOffice 365による現在のコラボレーション。オンラインで会話をしながらドキュメントの共同編集を進められる

 ベルシステムではセキュリティ上、ワークスペースを部門別に分けているが、一方で“ヨコグシ”も活性化したい。そこで、どのワークスペースからでもアクセスできる共通チャンネルを用意している。

 共通チャンネルとしては、各地の社員が地元を紹介する「#各地のベルから」チャンネル、部署の枠を超えて業務の相談ができる「#ヨコグシノーアジェンダ」チャンネル、何でも書き込んでよい「#ざつだん」などがあるという。これにより、たとえばある部署の人が「こんな事例を探している」と書くと、別の部署からその情報が寄せられる――そうした会話が発生している。こうしたヨコグシの活性化は、在宅勤務/リモートワーク環境下で従業員が疎外感を感じるという課題への対応にもつながっている。

セキュリティの観点からワークスペースは部署ごとに分けつつ、共有チャンネルを作成して“ヨコグシ”のコミュニケーション強化を図っている

 川崎氏は、Office 365の「Microsoft Teams」を使わずSlackを使う理由として、ユーザーの視点、管理する側の視点の両方から説明した。ユーザー側では「圧倒的な検索能力」「親しみやすいUI」というメリットが、また管理側では「ワークスペース設計のしやすさ」「ヨコグシのチャンネルを作ってコミュニケーションが活発になる仕組みを作りやすい」というメリットがあると語る。

 Slackの伊藤氏は、Office 365に含まれる代表的なアプリケーションはすべてSlackに統合することができると紹介した。「SlackとOffice 365、それぞれの得意分野、不得意分野をきちんと理解した上で、組み合わせて使っていただきたい」(伊藤氏)。

Office 365の主要な機能はSlackに統合して使うことができる

連携の例。Slack for Outlookを使えば、受信したメールの情報をSlackチャンネルに送信、共有できる

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